「影響力の武器」という書籍をご存知でしょうか? 国内外でベストセラーとなった社会心理学の本です。
本書では承諾誘導(相手にYESと言わせる原理)の基本形を以下の6つの原理に分類しています。
- 返報性
- 一貫性
- 社会的証明
- 好意
- 権威
- 希少性
これら6つの原理の内容や研究結果、実例を交えて解説しています。数百ページの大作になってますので、読破するのは結構時間がかかりたいへんでした。
ただ、各原理毎にまとめの項があるので、そこを読めばポイントを把握するのはそんなに時間がかかりません。
今回は、本書で紹介されている原理の中から4つをピックアップして、子育てや夫婦生活に活用できそうな原理の内容と具体的な活用法を提案したいと思います。
子育て世代全般
夫婦二人の世帯全般
相手にYESと言わせる原理
夫婦の家事・育児分担方法
子どもの嫌がり・苦手克服の方法
子どもとの約束を守らせる方法
4つの原理の解説
返報性
返報性の原理とは、「他者から与えられたら、同じやり方で相手に返すように努めることを要求する」ことです。
例えば、SNSで「いいね!」したら、「いいね!」で返すような心理作用が働くことですね。
この原理の活用としては、譲歩的要請法(拒否されたら譲歩)というものがあります。
これは、「まず大きめの要求をし、それを拒否された後、小さな要求(狙いの要求)をする」ことです。
「私は最初の要求から譲歩したんだから、あなたも妥協して受け入れるよね?」という返報性の原理を駆使して、あいてに要求を通させるためのプレッシャーを与えることが可能です。
一貫性
一貫性とは、「言葉・考え方・信念をブレずに最後まで通したい、他者からそうみられたい欲求があること」です。
この一貫性には重要な前提条件があり、それはコミットメントを得ることです。つまり、一貫性を出す人が、強制ではなく、自ら進んでその立場の明確化、意思表示をする必要があります。
簡単に言えば、自分から一貫することを宣言する必要があるということです。決して誰かに強制されて宣言してはダメです。本人の主体性が重要になります。
一貫性はコミットメントとセットと覚えておいてください。
社会的証明
社会的証明とは、「人は他の人が何を正しいと考えているかを基準にして物事を判断すること」です。
どう行動するのが正しいか決める時に、多くの人がする行動、自分と似ている人の行動であればよりそれが正しい行動だと判断してしまう傾向があります。
例えば、災害時に状況がよくわからないにも関わらず、皆と同じ方向にとりあえず逃げることはまさにこの原理が働いてますね。
希少性
希少性とは、「人は機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなすこと」です。
これは理解しやすいと思いますが、例えば数量限定、期間限定といったものですね。他にも、これまであった自由を制限されたり、自由が喪失されたりするとそれに抵抗する心理的作用(心理的リアクタンス)が働きますが、それも希少性の原理で説明がつきます。
子育て・夫婦生活での活用
解説した4つの原理を使った子育て・夫婦生活での活用例を提案します。
家事・育児の分担
- 返報性
- 一貫性(とコミットメント)
夫婦で家事育児分担を決める際、思っているよりも大きく分担を要求し、拒否されてから、狙いとした分担量を妥協点として提案しましょう。(返報性で解説した譲歩的要請法の活用ですね)
この分担を決める時のポイントですが、家事・育児の分担することを強制ではなく相手にきちんと宣言させることが大事です。(一貫性とコミットメント)
具体的には、役割分担表をノートやホワイトボードで書かせたりして、相手に確認を取りながら進めていく。相手が難色示した場合、相手がYESというまで待つことも戦術としてありです。
第3者がいる場で役割分担の承認させるとより効果的です。実家や同僚や友人のいる場をセッティングしてトライしてみてはどうでしょうか?

ちなみに我が家では、一旦決めた家事・育児の分担を私はやらずに、奥さんに頼りっぱなしになってました。いつまでもそれではダメだと思い、家事・育児の通信簿を奥さんにつけてもらうことを私自ら提案。
内容を定期的にブログで掲載するようにしました。そのお陰で分担した家事・育児ができるようになり、きちんと習慣化まで落とし込めました。
以下の通信簿記事はご参考までに。


子どもとの約束を守らせる
- 一貫性(とコミットメント)
- 希少性
親子間で色んな約束事・ルールを作ることがあると思います。例えば、最後にお片付けをすること。お菓子の間食をしないこと。などなど。これらの約束を守らせるためにやってはいけないことと、やるべきことを提案します。
やってはいけないこと
親子間の約束事は曖昧せず、徹底して守るようにすることが大事です。
例えば、約束を守らない子どもを叱らなかったり、たまにならと特例を認めたりしていると、子どもは約束事を守るかどうかは自由という認識を持ち始めます。
そうなると、約束事を強制した時に大きな反発を受けます。これが自由の制限への抵抗です。(希少性)とりわけ自己が芽生え始める2歳頃からこの傾向が高まります。通称イヤイヤ期ですね。
やるべきこと
約束したことを守らせるためには、強制させずに子どもが自分で進んでとったと感じられる。納得感のある理由を用いることが大事です。
褒美で釣ったり、脅したりなど強制力を言い聞かせても、その一時的な効果にしかなりません。
では子どもへの理由付けを具体的にどうするか?ですが、個々のこどもによってそれぞれなので一概にこれという方法論はないです。男の子であれば、その約束を守る・守らないことでお母さんがどう思うかを嬉しい・悲しいなど感情交えて素直に伝えると良いと思います。女の子であれば、共感を呼ぶように一人の女性として接すると良いと思います。
子どもの嫌がり・苦手の克服
- 社会的証明
子どもが苦手・嫌がることとして、本書では歯医者に行くことや浮き輪なしでプールに入ることが例として挙げられていました。
これらの解決としては、子どもと同世代の子が嫌がらずにこなす姿を見ることです。あの子にもできるなら、私もできるはずと勇気を持てるのではないかと思います。ちなみに映像で見ても効果はあるそうです。
つまり、同世代の子どもが集まる子ども館、アスレチック場には接触的に参加させて色んな刺激を受けることや、保育園・幼稚園に入れることは子どもの大きな成長に繋がるということですね。



このコロナ感染が広がる時代では、なかなか集まることも難しいです。SNSを駆使して同世代の子どもが嫌がらず、楽しそうにしている動画を共有したりすれば効果的かなと思いました。
まとめ
今回挙げた3つの活用例ですが、私が特にオススメしたいのは「子どもの嫌がり・苦手の克服」です。
我が子が嫌がることを楽しそうにやる子どもの動画で見せることで、前向きな気持ちに変化するのであれば、やるしかないでしょ。そのような動画はYoutubeやインスタなどから探せばたくさんでてくるはず。やってない方は是非。
今回は子育て・夫婦生活への活用に絞ってまとめていますが、この原理を理解すれば日常生活や仕事で何かをお願い・依頼するときや営業活動など色んな場面に活用ができると思います。
様々な具体事例が載っているので、自分の生活に置き換えた活用方法をイメージしやすくなっていると思います。
また、この原理を使って要求を飲ませようとしてくる人も当然います。原理を使うことだけでなく、使われることを想定した防衛も大事ですよね。
安心してください。本書では安易に要求を飲まないようにする対処方法もきちんと解説されています。
心理学って知っていると・知ってないとでその後の人生が大きく変わると思いませんか?
そう思った方、気になった方は購入を検討してみてください。
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